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2008.06.15 *Sun*

『COOL BIZ~Protective Lover~』

「それじゃ柊一さん、帰りは迎えに行きますから」
「いいよ、別に。連絡をくれたら、僕が上がってくるから」
「いいじゃないですか、たまには。あなたのデスクの周りも見てみたいんです」
「・・・そうか・・・じゃ、・・・待ってる」

見つめ合う本人達は、どう思っているかわからないが、同席している若宮としては、
いちゃついているとしか思えないやりとりに、
平和でいいもんだな・・・とか、
そう言えば、俺もこういういちゃいちゃをしたいものだ・・・とか、
ついため息をこぼしそうになった。

退室しようと、社長室の扉に向かって歩き出した柊一の肘の当たりを、
冴木はそっと支えるように寄り添うと、
さらに、その手を背中に回してエスコートする。
奇跡的な回復を見せたとはいえ、
冴木にとっては、常に守るべき大切な人であることに変わりはなかった。

「そういえば、なぁ、冴木。この部屋、少し暑くないか、大丈夫か?」
「・・・そう・・・ですか?私は、別に感じませんが」
「そうかな。僕がいるフロアのほうが、かなり涼しいと思うのだが・・・」
その言葉に、一瞬冴木がわずかに目を細める。
「若宮先生は、いかがですか?」
冴木の視線の変化などまったく気づいていない柊一は、何気なく話を向ける。

正直言って、若宮はすでに今夜の早瀬とのデートのことを考えていたので、
部屋の温度など、どうでもいい話題であった。
ところが、話題を振られた時の、冴木の瞳の動きに、
ここは慎重に返答すべきなのかな・・・と、頭の中で警報が響いた。

「あ~、ちょっと暑い・・・かな・・・ここ?」
一応、柊一に同調して様子をみる。
冴木の鋭い視線に痛さが増した。
どうやら、間違った方向に進んでしまったようだ。
いかん、いかん、軌道修正・・・。
「でも、柊一くん、同じ設定温度でも、フロアの物の配置とか人数によっては、
体感温度は微妙に違うと聞いたことがある。
たぶん、そのためじゃないかな?」
冴木の視線は柊一にもどり、剣呑さは瞬時に消え失せた。

どうやら、正しい方向で返答出来たみたいだな。
早瀬、俺はちゃんとできたぞ!

つい先日の、携帯電話の一件で、
恋人から一刀両断・問答無用に苦い評価を受けた若宮は、
二度と同じ失態は繰り返すまいと、密かに決意していた。
空気が読めないだの、言わなくていいことをお約束のように言ってしまうだの
ベッドの外では、言いたい放題で可愛くないことこの上ないお姫様ではあるが、
何でも許せてしまうほど、メロメロであることも事実だった。

「そうなんですか。冴木、少し社長室も模様替えして、
エコ対策をしてもいいかもしれないな」
人の気も知らない、のんきな笑顔で柊一は自分の所属に戻っていった。



「さすがに、学習したみたいだな」
「余計なことは言うな・・・ということか?」
若宮の質問をあっさり聞き流して、デスクの書類を片づけ始める。
「・・・ということは・・・おい冴木、本当に設定温度下げてあるのか?」
冴木は手を休めることなく、ちらっと視線を挙げて口を開いた。
「・・・別に関係ないことだと思うが・・・知りたいのか?」

ここまで聴けば十分だと言うことも、冴木とのつきあいの長い若宮は察知していた。
つまり、柊一のいるフロアだけは、エアコンの設定温度が低いのだ。
そこまでするのかっ!
口の中に甘い砂糖がジャリジャリするような気分だった。
まったく、この過保護の恋人は、どうしようもないな・・・。
でも、ま、同じフロアの早瀬も涼しく仕事ができるのだから、
まあ、いいか。
ジャリジャリを丸ごと飲み込む。

「いや、別に俺には関係のないことだから」
「そうだな。不要な情報を仕入れるほど、暇ではないと思うしな」

ちくしょう、冴木のヤツ。
今夜は、このことを早瀬に言いつけてやる。


しかし、若宮はすべての事情を知ってはいなかった。
設定温度が低いのは、恋人の職場を快適にするため・・・これは二次的な理由。
真の理由は別にあったのだ。


事の始まりは、いまから約1ヶ月前にさかのぼる。
梅雨入りにはまだ早い5月中旬。
冴木は社内ネットワークを使って電子決済処理をしていた。
倉橋物産では、一般的な起案については、パソコンを使った決済システムに移行していた。

今朝アップされた決済ファイル内の文書をひとつひとつ改めていく。
「・・・ん?エコ対策としてのクールビズ対応について・・・か」
近年では、企業の社会貢献や環境への取り組みは当たり前となっている。
倉橋物産としても、積極的に勧めている最中でもあった。
社内のエアコンの設定温度について、
社内での服装の簡素化について、
残業をしない日を定めることについて、

確かに、どれも努力の範囲内で十分にできる内容に思われた。
真新しさはないが、地道な方法でもあり妥当に思う。

「あとは、これを実施することによる実質的な電力削減量の試算が見たいところだな」


ところが、冴木の気持ちを乱す出来事は帰宅後に起こった。

「おかえりなさ、柊一さま。・・・買い物だったのですか?」
「ああ、ちょっと時間があったので、寄ってみたんだ」
「言ってくだされば、ご一緒したのに」
「何を言ってるんだ、子どもじゃあるまいし。シャツくらい、僕ひとりで買えるよ」
「シャツ・・・ですか?」
「ああ。来月からクールビズなんだろ?
僕、半袖シャツって持っていないから、やっぱり必要かと思って、少し買ってきたんだ」

そう言って、どうかな?と自分の身体に当てて、ちょっと首をかしげる。
その悩殺的な愛らしさに、このまま押し倒してやろうかと近づいて、ふと気づく。

半袖などを着てしまっては、白くてきれいな腕の内側が丸見えになってしまうし、
ノーネクタイで、第1ボタンなどをはずされては、
なまめかしい首筋が露出してしまう。

手首の内側、二の腕の内側、太ももの内側・・・
口の内側・・・そして、いつも冴木自身を包み込んで熱く吸い付くように締め上げる
自分だけが知る柊一の秘密の内側。

内側と名の付く場所は、誰にも見せたくない「イイトコロ」なのだ。
クールビズとかエコとか、そう言うものにとやかく言われる筋合いの物ではないのだ。
とにかく、半袖の着用はとめなければ。
そして、今夜も早く、脱がして抱いて、舐めて挿れて泣かせたい。

「柊一さま、本社ビルは意外と涼しいものですよ。
もともと体温も低い方ですからね、あなたは。
だから、実際に6月になってから、判断された方がいいのではありませんか?」
本音はちらりとも見せずに、しごく常識的でかつ親切な論を提案する。

「あっ・・・確かに、お前の言うとおりだな。うん、そうするよ」
「じゃ、風呂にしませんか。今夜は寝る前に、少し酒でも飲みましょう」

余談ながら、
このあとは、もちろん、冴木の思い通りの展開となった。
いや、アルコールの効果なのか、
大胆でいつもより積極的な柊一の反応に、
すっかり、たががはずれて、明け方まで夢中になった。
結果として、半袖シャツではカバーしきれない場所まで、
鮮やかなキスマークがほどこされたのだった。
「やはり、半袖など、許すべきではないな」
自分は正しいという確信を深めた冴木だった。




若宮の予想の、常に右斜め上をいく過保護でヤキモチ焼きな男、冴木。
ちゃっかり柊一のフロアのみ、設定温度を2度も下げさせた真の理由は、
職場で半袖を着させたくないがため。
さらに、帰りに所属まで迎えに行く真の理由は、デスク周りを見たいのではなく、
最近遠慮がちにも、柊一を飲み会に誘い始めた
『チャレンジャーなフロアの雰囲気を牽制するため』であった。
・・・どうしても柊一さまを誘うのであれば、社長である自分も付いていく・・・、
くらいの態度で、穏やかに、そしてあからさまにアピールするのだった。


「まるで、まっ黒な大型犬。っていうか、ご主人バカの番犬だな」
早瀬は、こっそりつぶやくと、我関せずのままキーボードを叩き続けるのだった。

☆the END ☆

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