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2009.03.16 *Mon*

「スレイヴァーズ・ウルフ」(『スレイヴァーズ』二次創作) by 彩香

「何をやってるんだ、俺は……」

 ダブル・ベッドで目を覚ました冴木は頭を抱えた。
乱れたシーツ。ベッド脇のブルーのカーペットの上に脱ぎ散らかしたスーツ類。透けた白いレースのカーテンからまぶしい朝の日差しがブルーのカーペットにこぼれている。

胸にどっと激しい自己嫌悪が押し寄せる。とどめは、隣りで彫像のように横たわる美しい青年。もとい柊一さまの姿。ただでさえ顔色がいいとは言えない白皙の美貌が、蝋のように真っ白なのが痛々しい。血の気を失った唇に張りついた前髪を、冴木はそっとかき上げ耳にかけてやる。

柊一さまは、耳の形まで可憐だ。その美しい輪郭をつっと指先でたどりながら、いまさらながらに感心する。だが、柊一のやわらかい頬に残る涙の跡を見て、ふたたび激しい自己嫌悪に陥った。

柊一さまをまた泣かせてしまった――。

まったく昨夜の俺はどうかしていた。あれでは、まるで飢えた獣ではないか。マンションに帰宅した柊一さまを無理やりベッドに引き倒し、有無を言わせず犯すなんて。

冴木の口から大きなため息がこぼれる。

いや、あれは全部山脇のせいだ。何年も音信不通だったくせに、昨日の夕方いきなり電話をかけてきて、柊一さまをホテルまで迎えに来いだと。ふざけるな。

収まりかけていた山脇への怒りがまたふつふつと湧いてくる。それだけならまだしも、怒りの矛先が危うく隣りで死んだように眠っている柊一へと向かいそうになり、冴木は頭を振る。
これではまた昨夜の凶行の二の舞いだ。冴木はベッドから立ち上がり、窓際に近づくと勢いよくカーテンを開けた。

 背後で柊一がかすかに身じろぎし、目を覚ます気配がした。気まずさを押し隠し、冴木は覚悟を決めて振り向いた。

「柊一さま」
「冴木……」
 惜しげもなく素肌をさらした柊一が、呆然と自分を見上げている。その白い胸元に散る赤い花びらのような跡が嫌でも目につく。

昨夜の激情の名残――。
俺に内緒で山脇の誘いに応じていた柊一さまへの怒りが止まらなくなり――。

何食わぬ顔でマンションに帰宅した柊一を玄関先で待ち伏せるようにして、つかみかかり、問答無用で寝室へ引きずりこんだ。怯えた目で俺を見上げ、美しい顔をゆがめる柊一さまを見たとたん、俺の中の何かが壊れた――。目の前がかっと赤く染まり、頭に血が上り、突き抜けるような衝動のままに柊一さまの華奢な体をベッドに押し倒していた。

あとは獣のような本能のままに――。

 冴木は硬く目を閉じた。

「申し訳ございません、柊一さま。昨夜の俺は――」
「何も言うな」
 思いがけず強い口調にはっとする。

「柊一さま――」
「もう何も言わなくていい、冴木。何も聞きたくないから」

柊一の美しい目にみるみる透明な涙が盛り上がり、つうっと頬を伝った。ぽたりとブルーのカーペットに落ちて、染みになる。うつむいて小刻みに肩を震わせる柊一の姿を見て、冴木は心をかき乱された。たまらなくなって床に跪き、正面から柊一を抱きしめる。

「どうかお許しください。昨夜の俺は、どうかしていました。あなたが俺に断りもなく、山脇とホテルで会っていたなどと、突然あいつに電話で告げられて、正気を失っていました」
「お前は山脇の言葉を信じたんだ。僕ではなく」
 凛とした柊一の声が、冴木の胸を鋭利なナイフのようにぐさりと貫く。

「で、どうだった? 山脇が正しかったのか?」
 無言で唇をかみ締めている冴木の頭上から、容赦なく言葉が浴びせられる。

「いいえ――。昨日、あなたとあいつの間には何もありませんでした。ですが……」
 冴木はさっと顔を上げた。柊一と正面から視線を合わせて、訴える。

「お願いです。どうかもう二度とあいつとは、ふたりきりでお会いにならないでください。危険すぎます。あいつはいまだにあなたを狙っています。隙あらば、不埒なまねをしようと伺っているんだ」
 くすり、と柊一が笑った。

「お前のように?」
 白い胸に転々と赤い花びらを散らし、どこか誇らしげに嫣然と微笑む柊一に冴木は絶句する。

「お前は山脇先輩のことを危険だと言うけど、どう違うんだ? 僕から会社も誇りも何もかも奪い、思い通りにしているお前と?」

 そのとおりだ――。
 柊一さまにとって、俺と山脇は同じ。
 柊一さまの意思に関係なく、その美しい体を支配し、思うままに貪りたいという汚らわしい欲望を抱いている点では俺たちは同類だ。いや、むしろこうして現実に、家族の生活の保障と引き換えに柊一さまを縛りつけ、好きなだけ蹂躙している自分の方が彼にとってはどれほど危険か。

だけど――。

 冴木は、錐で突かれるような鋭い胸の痛みを覚えながら、心の中で必死に叫ぶ。

柊一さま、俺はあなたをこんなにも愛しているのです。
あなたのためになら、手足を失ってもいい。
死ねとおっしゃるなら、今すぐ従います。
こんな命でいいのなら、喜んであなたに差し上げる覚悟です。

ですから、どうか柊一さま。
俺の愛を信じてください。
ひねくれていて理解しがたいかもしれませんが。

「どうした、冴木。何も言わないのか?」
 柊一の声にはっとする。

「お前はいつも言葉が足りない――。言葉にしてくれなければ、僕にはわからない」
 柊一の美しく澄んだ目に涙が盛り上がる。
「どうか教えてほしい。お前がいつも僕に向ける切なげな目で、何を訴えているのか。そんな目で見つめられると、僕は混乱する。どうしていいか――」
 堰を切ったように言葉があふれだす柊一の唇を、冴木は唇で塞いだ。

「もう何もおっしゃらないでください、柊一さま。俺が悪かったんです。何もかも――」
 冴木はにっこり微笑んだ。

「愛しています、柊一さま」
 震える華奢な肩に両腕を回し、正面から抱きすくめる。

「どうか俺だけのものになってください。こんな俺でよければ、何もかも差し上げますから」
 
 柊一がかすかにうなずくのを見て、冴木はこらえきれずに彼をベッドにもう一度押し倒した。柊一の目に浮かぶ蟲惑的な色に誘われるように、昨夜からさんざん耽溺した甘い体にふたたび溺れていった。

☆The End☆




こんにちは。彩香です。大変ご無沙汰しております。最後に小説をUPしたのは、去年の春?(オイ)
相方のれんさんに更新おまかせして、すっかり頼りきりのヘタレです。。。汗
お仕事が一段落ついた・・・わけでもないのですが(笑)、れんさんのステキSSに触発されて、久々に頑張ってみました。
『スレイヴァーズ』本編でふたりも幸せになったことですし、ここはひとつ甘あまハートで…と思ったのですが、根が鬼畜なのか(オイ)少々痛い感じに仕上がってしまいました苦笑い
山脇がアメリカから帰国して、ふたたび柊一さまにアプローチを仕掛けてきた。。。そんな時期のお話です。

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COMMENT

彩香さん、こんばんわ☆

きゃぁ~~~、甘いけどシリアスなスレイヴァーズ!
「耳の形まで可憐」なんですね。もう、明日から、
やたら耳の形が気になってしまうかも。
えええ?山脇先輩が、日本上陸(台風やあるまいし)!そして、「ホテルまで迎えに来い」?
私も一緒に叫んであげよう、冴木。
「ふざけるな~~~~!」

このお話、ドラマCDで聴きたいです。
「もう何も言わなくていい、冴木。何も聞きたくないから」は一生懸命気持ちを押さえながらも、必死な感じの早口ぎみなタカピロがいい。「お前のように?」は、ちょっと上から目線で冷たく言って欲しい。「どうした、冴木。何も言わないのか?」は、さらに冴木を追い込むように言ってみましょうタカピロ。「お前はいつも言葉が足りない――。言葉にしてくれなければ、僕にはわからない」これは、思い切り切ない感じでお願いします!
どのセリフも、まさに柊一さまと冴木そのもので、
彩香さんのふたりへの愛を感じます!
ありがとうございました~~~!

2009/03/16(Mon) 22:51 | 千子 #- [Edit
れんさん、こんばんは~!

ふつつかな(え?)SSですが、早速読んでくださってありがとうございます。温かくもユーモラスなコメントまで…うるうる。頑張ってこっそり仕事中に書いた甲斐がありました(オイ)

台風のように(笑)いきなり上陸してきて、柊一さまをホテルに誘い込んだ山脇ですが、柊一さまを食べてないなら、何してたんでしょうね?笑

万一これがCDになるようなことがあれば(笑)、プロデューサーはれんさんにお任せします。ってかお願いいたします。もちろんタカピロともりもりを連れてきて♪
ついでにゆうきゃんのための新キャラも登場させてくださるとめちゃめちゃ嬉しいです♪

2009/03/16(Mon) 23:06 | 彩香 #5ddj7pE2 [Edit

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彩香とれんの萌え満載のBL二次創作小説ブログです♪
れんによる『えれなさんのBL小説スレイヴァー○』シリーズの二次創作SS☆
現在、彩香による『ShokoさんのBLコミック○○な朝』18禁二次創作SS更新中♪いずれの作品も原作・版元には一切関係のない個人の創作になります。了承の上お楽しみくださいませ。



プロフィール

lisa

Author:lisa

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Author:lisa
昼は社会人、夜はハードなBL星人です。
無理矢理が大好物なドS属性。
濃ゆくて切ないBL小説が書きたいの。
現在、Hidaka Shoko先生のBLコミック『憂○○朝』に萌え暴走&妄想&二次創作中です。
桂木が好き過ぎて困る。
誰か止めて…笑

lisaの萌えブログ「BL萌え的生活」へはリンクから飛べます^^


Author: れん
Elena先生のBL小説「ス○○○ーズシリーズ」の二次創作担当です。
甘い柊一さまと冴木をお楽しみくださいませ。
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