BL創作小説さくらのはな

彩香&れんによる甘くて切ないBL創作小説&BL萌え二次創作です。現在「スレイヴァー○」(華藤ERENA先生原作)と「憂鬱○朝」(日高Shoko先生原作)の二次創作SS(読みきり)をUP中。R18的作品が含まれます。

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そう言えば、今夜はクリスマスイブクリスマスツリーだったな・・・。

景気の悪い話ばかりが続くこのごろだけれど、
さすがに、街のイルミネーションキラキラの輝きと華やかさは、気持ちを明るくしてくれる。

以前の僕だったら、冴木と二人で穏やかに過ごすことができれば、
それが最高のクリスマスだと思っていた。
いや、その思いは今も変わらない。
けれど、それだけでは、物足らなくなってきている自分がいる。

「人間って言うものは、随分贅沢なものだ・・・」

恋人らしいクリスマス。
このところ、ずっと考えあぐねている課題がある。
プレゼント、食事・・・冴木の笑顔を、僕が引き出してやりたい。
ところが、何を贈ればいいのか、どこに食事に行けばいいのか、
結局決められないまま今日を迎えてしまった。

「全く、ダメだな・・・僕は。」

そして、このところ冴木は、不規則な勤務が続いていた。
深夜を回るほど遅いかと思えば、出張先に直行だとかで、中途半端な時間に出勤したり。
体調を崩すのではないかと、心配になるほどだった。

「仕事だから・・・仕方がないか・・・。」

物思いに浸っている間に、広尾のマンションにたどり着く。
見上げた先の部屋に今日も灯りはない。

いつもと変わらない手順でセキュリティを解除して、
ドアロックを開ける。
いつもと変わらない仕草でドアを開くと・・・。

「あ・・・・・」

いつもは無機質な玄関ホールに、暖かなキャンドルの灯り。†XmasOrns†キャンドル(*゜▽゜)ノ
そして、リボンと生の果物や木の実でアレンジされたクリスマスリース。リース

「これ・・・は・・・」
靴を脱ぐことも忘れて、見入っていると、よく知った声が僕を迎えた。

「メリークリスマス。おかえりなさい、柊一さま」
「冴木・・・これは・・・?」

いたずらが大成功した時は、きっとこんな表情をするのだろう・・・というような
ちょっと得意げで、うれしそうな冴木の顔。
僕の反応を、うかがっている。

「さぁ、早く上がってください」
そう言うと、僕の手からカバンを取り上げ、
優しく背中を押して、リビングへと連れて行く。

見慣れた空間が、違う装いで僕を迎える。

ふんわりとした間接照明に照らされた物たち。
美しいブルーの光をまとった小さなクリスマスツリー。クリスマスツリー
シャンパングラス、大皿に盛りつけられたオードブル、フルーツ、可愛いケーキ。いちごケーキ


「驚いて頂けましたか?」
「・・・ああ・・・」
「気に入って・・・頂けましたか?」
「・・・冴木・・・」

「私は、あなたのサンタクロースになれましたか?」

低く甘く囁かれる、なじんだ声。

まっすぐに僕を見つめる瞳に、僕自身が映っている。
「お前は、いつだって僕に奇跡をプレゼントしてくれるサンタクロースだ」

そう言って、冴木の唇に口づける。
互いに軽い口づけを与えあい、さらに深い愛撫を求め合う。
なくてはならない暖かさと、手に入れてもまだ、求めてやまない熱さ。
これまでも、そしてこれからも。
出会う奇跡と、愛し合う奇跡。

幸せなクリスマスを迎えられたことに、
心からの感謝を。

雪だるまMerry Christmasツリー

冴木視点で、その後をレポアップロードファイル

ホームパーティーのサイトを回ったり絵文字名を入力してください、クリスマス雑貨を研究したりという
俺らしくない努力は、なんとか成功を収めたようだ。
柊一さまのあの笑顔があれば、睡眠不足も、慣れない買い物プレゼントの苦労も、すべてが報われ
る。

ところが、柊一さまは、自分は何もできなかったとたいそう恐縮してしまわれた。
一緒にシャンパンをあけながら、俺にもたれかかり、肩に頭をあずけた無防備な姿勢。

「僕は、結局お前のサンタにはなれなかった・・・」

お前をよろこばせてやりたかったな・・・。

なんて、寂しげにおっしゃるものだから。

さっそく柊一さまの希望をかなえるべく、次の準備に取りかかった。
赤い幅広のリボンりぼんや、イチゴいちごや、生クリームといった、
一見まったく普通の小道具たちを、
風呂場お風呂や寝室にこっそり仕込みに行く。

そうですよ、柊一さま。
あなたが俺のサンタクロースサンタクロースになりたいとおっしゃるのですから、
俺の理性を吹き飛ばすほど俺をよろこばせてください。

そのために、まずは、あなた自身に、思い切り乱れて頂きます。


(冴木・・・小道具たちの活躍とかも今度詳しく教えてくださいませ♪ れん&彩香)

若宮のヤツ、また余計なことを・・・。
冴木は、終業時間直前に前触れもなく社長室を訪れた顧問弁護士とのやりとりを
思い出していた。

「社長なんてものは、案外社内のことを知らないものだぞ」
「別に、何もかも知っておく必要はないだろう。
そのために、課長や係長がいるのだからな」
「はは・・・いいのかな、そんな余裕ぶっていて。」
コーヒーカップに口を付けながら、若宮は意味ありげな視線を向けてきた。

「・・・なんだ・・・言いたいことがあれば、言えばいいだろう」

「実はな、冴木。
最近、海外事業部と秘書課の女性達が、源氏物語で盛り上がっているのを知っているか?」
待ってましたとばかりに、うれしげな表情で語り始める。

「・・・源氏物語?今更、日本の古典がどうしたというのだ」
「何も知らないんだな。ま、いいか。
つまり、我が社の光源氏は、柊一くんだそうだ」
「・・・・・」
「さしずめ、彼女たちにとっては、お前は頭の中将ってところか?
いつの時代も、女性は貴族的なオトコマエが好みなのかね。あはははは」

お前も大変だな、などとバカ笑いしながら出て行ってしまった。

源氏物語だと?
光源氏?
古典にはあまり詳しくはないが、たしか、結構な女たらし・・・だったような。
そんな男と柊一さまを比べるだなんて。
似ても似つかない。
絶対に、柊一さまにはお聞かせしたくない話だ。

・・・そう思っていたのに・・・。

「ああ、聞いたよ。何か紫式部に申し訳ない気がするな」
「何を言ってるんです。あんな女たらしとあなたは、似ても似つきません」
冴木は、自分にとって神のように貴い恋人を、おとしめられたようで依然として腹立たしかった。

「冴木、光源氏は、ただの女たらしではないと思うけど?」
「それでもです。あなたは全然違う。」
まっすぐなまなざしで柊一を見つめながら、冴木は言葉を続けた。

「・・・あなたの気高さや本当の美しさを知らないで、一体何をうわさしているのか」
「そんなに憤慨しなくても・・・確かに僕は女たらしではないけれど・・・でも」
「でも・・・?」

柊一は、バスローブをはおったまま飲んでいたミネラルウォーターのグラスをテーブルに置くと、
その暖かい手のひらを冴木の頬に近づけた。

「この世にただひとりだけは、どんな方法を使ってでも、たらし込んで、
手に入れておきたいと思っているよ」
「・・・柊一さま?」

唇が触れあいそうなほどの距離で、甘くささやく。

「お前の、どんな可能性をつぶしてしまっても、僕のものにしておきたい。
こんなワガママは、許されないと思うけれど、それでも、とまらない。
お前を僕のものにしておけるなら、この身体だって、心だって、お前に差し出すよ。」
「柊一さま・・・」
「冴木」

寝室にうつるのも、もどかしくて、そのままそっと柊一の身体をソファに押し倒す。
深い口づけを、もっととねだるように柊一の指が冴木の髪を優しくかき乱す。

あなたは、私にとっての光。
この命ある限り、ずっとあなたの虜になっていたい。
そう言う意味では、あなたは私だけの光の君なのかもしれませんね。


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れんです。
ご無沙汰しております。
今回は、タカピロ@光源氏のニュースに盛り上がって、
このようなお話を書いてしまいました。
柊一さまは、なにげに小悪魔です(笑)
自分の欲望に素直な柊一さまには、誰も勝てません。
冴木は、もっともっと柊一さまに溺れればいいと思います(←きっぱり)

読んで頂いて、ありがとうございます!
冷え込んでまいりました、みなさま、風邪などひかないように〜。

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⇒続きを読む

「そういえば、今日はマンションの子ども達が仮装してましたね」
「ああ、子ども会主催のハロウィンだそうだ」

ひとしきり互いの熱を分け合った後の、穏やかなひととき。
ベッドサイドの柔らかい照明が、二人を照らしていた。

「ハロウィンですか。
私たちには、あまり馴染みはありませんが、
最近は流行っているんでしょうか」
「流行って・・・いるのかな。
トリック オア トリートか・・・懐かしいな。
うちでも、だいぶ前は毎年やっていたからな。
子どもは好きなんじゃないか、ああいうお祭りは?」

冴木の胸に顔を寄せてうつぶせになっていた柊一は、
どこか遠くを見つめるようなまなざしのまま、そっと寝返りをうった。

「えっ?うちでもというと?」
冴木が怪訝そうに尋ねる。

「そうか・・・お前がうちに来たのは、中学だったな。
その頃には、僕も桔梗も大きくなっていたし、
いくら母に薦められても、さすがに仮装はしなくなっていたか」

ちらっと隣の男の顔を見上げると、どこか焦ったような表情が見えた。

「・・・あの・・・柊一さま、それでは、
お小さい頃はお屋敷でハロウィンをなさっていたのですか?」
「ああ、僕が小学生の頃までかな?」
「仮装・・・なさったんですか?」
「・・・ああ。ハロウィンだからな。
・・・って、おい、冴木、どうした?
今更そんなこと、別にどうでもいいだろう?」

冴木は、肘をついて身体を支えると、腕をつかんで柊一の顔をのぞき込む。

「柊一さまは、一体どんな仮装をなさったんです?」
「痛いっ・・・冴木、そんなに強くつかむな。」
「あ・・・すいません・・・。でも、
教えてください、どんな仮装をなさったのです?」
「確か、桔梗とふたりでおそろいのドラキュラ伯爵とか、
僕がコウモリで、桔梗がカボチャとか・・・。
魔法使いの年もあったかな」

特にドラキュラ伯爵の時には、母が張り切って膝丈のズボンのタキシードを作って、
シルクハハットにマントまで着せられたっけ。

笑みを浮かべて楽しそうにつぶやくと、冴木が少しうなだれている。

「どうした?」
「・・・柊一さまとハロウィンをしてみたかったです」

すねたようなその表情が、妙に可愛らしくて、甘やかしてみたくなる。

「してやろうか?ハロウィン?」
「えっ?本当ですか?」
「ああ。さすがに仮装は勘弁してもらいたいけれど・・・これくらいなら」

何が始まるのか、わけがわからない様子で、冴木は柊一を見つめていた。
ふたりとも視線をはずせないまま、次の瞬間を待ちわびる。

素肌にシーツだけをまとった柊一が、身を乗り出して冴木に顔を寄せた。
吐息がかかるほど唇を寄せて、低い優しい声で語りかける。

「trick or treat・・・お菓子をくれないと、僕がお前にいたずらするよ」

時々顔をのぞかせる小悪魔が、今夜も訪れる。
冴木は、逃さないとばかりに、柊一の身体を抱き込む。

「お菓子よりも、あなたが欲しいから、いたずらしてください」

そう言うと、すべてを奪うような口づけを仕掛けた。
何度も何度も唇を寄せ、舌を絡ませる。

お前からいたずらするのはマナー違反だと、笑いながら
手足をバタバタつかせる柊一を抱きしめて、
その頬を両手で包み込むと、今度は冴木が真剣な表情で柊一をみつめた。


「trick or treat・・・お菓子をくれないと、俺がいたずらしちゃいますよ」
冴木の声が、甘く心地よく身体に響く。

見惚れるほどの美しい笑顔を見せたのち、柊一はそっと目を閉じて、冴木を抱き寄せる。

僕も、お前が欲しいから・・・だから・・・。
もう一度、何度でも。
互いを求め合い満たされる秋の夜は、深く熱い息づかいに満たされていった。






後日談

「もしもし、奥様ですが?
冴木です、ご無沙汰しております。
・・・はい・・・いいえ、特に変わりはありません。
ところで、お忙しい折に、恐縮なのですが、
来週の土曜日にお邪魔したいのですが、ご都合はいかがでしょうか。
はい・・・すいません。
では、11時に柊一さまとうかがいます。
あ、ところで、お願いがあるのですが。
そのときに、柊一さまのアルバムを拝見してもよろしいでしょうか。
はい。実は、ハロウィンの仮装をなさったことがあると、
柊一さまからお聴きしまして。
ええ、是非拝見したいんです。
ありがとうございます!
それでは、朝晩冷え込むようになりましたので、
奥様も桔梗様も、暖かくなさってください。
失礼します」


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jack-o-lanternれんです♪
やっぱり季節イベントは、できるだけ参加したいものです。
ということで、ハロウィン。
私が柊一さまのママだったら、やはり、膝丈の半ズボンに、
タキシード、衿の立ったマントに、シルクハットを着せてみたいです!
それか、背中に黒いちっちゃいコウモリの羽を付けてもいいかも。
きっと、可愛い〜〜〜〜〜〜(*^_^*)
冴木は、ちゃっかり「柊一さまマル秘アルバム」にターゲットロックオンしてます。
奥様秘蔵のアルバムには、可愛い柊一さまがてんこ盛りですよ、きっと!
そして、全部スキャニングして、萌えアルバムを作るがいいよ。
(れんも彩香も応援するし!だから、私たちにも見せて〜〜〜)

さて、「trick or treat・・・」のセリフですが、実は、冴木については、
実際に聴くことができます。
「今日/からマ/○」シリーズのドラマCD内で、モリモリが言ってくれちゃってるんです。
もう、最高にエロ・・・いえいえ、セクシーでテンション上がります。
興味がおありならば、是非!

それから、いつも拍手を頂き、ありがとうございます!
拍手コメントも頂いちゃって、すっごい感激ですm(_ _)m
(Yっこさん、ありがとうございます!)

では、みなさまにも、Happy Halloween♪
「これを僕に?」
「はい」
「あの・・・冴木・・・これって、エプロンだろ?」
「そうです」
「えっと・・・夕飯は終わったし、何か夜食でも欲しいのか?」
「いいえ」
「それじゃ・・・」

ベッドに並んで座ったまま、俺はレースをふんだんにあしらった清楚なエプロンを
広げて見せた。

「バスローブを脱いで、素肌にこれを着てください」
「えっ・・・」

柊一さまの頬が微かに赤く色づく。
まるで、パールをちりばめたような肌は、今夜は特別美しい。

「裸エプロンというものですが・・・ご存じありませんか?」
「・・・・・」
「新婚のセオリーみたいなものですよ、柊一さま。
特別なことじゃありません。」
「・・・新婚のセオリー?」
「ええ、みんなやってますからね」
「えっ・・・みんな?」

素直な驚きを浮かべた瞳のなんてお可愛いらしいこと。
星のようなきらめきが光る。

「ええ」
「本当に、そうなのか?」
「はい。先月結婚した総務の田中さんや秘書課の吉田さんも、きっと経験済みですよ。
なにしろ、新婚のセオリーですから」

柊一さまは、視線をそらして微かにうつむいている。
おそらく、衝撃の情報にとまどわれているのだろう。

「僕・・・が着るのか?」
「私の裸エプロン姿をご覧になりたいのですか?」
「いや、そう言う意味ではなくて・・・」
「なら、やはり柊一さまに着て頂きたいです」

今夜の俺は、一歩も退くつもりはない。

「みんな・・・しているのか?」
「はい」
「特別な事じゃ、ないんだな?」
「ええ、新婚なら誰でもしていますよ」

そうだ、柊一さまは、負けず嫌いでいらっしゃるから、
誰でもしていることを、できないとはおっしゃらないだろう。

「わかった・・・」
「ありがとうございます。では、お手伝いします」
「いや、いい。ひとりで着れるから」

そういうと、柊一さまは、俺に背中を向けてローブのひもをゆるめた。
ちらっと、背中越しに俺を見上げる瞳に、ぞくっとする。
両袖から腕を抜き、ローブを肩にはおったままで、エプロンを身体に当てる。

「冴木・・・これ・・・後ろが・・・」
「はい、丸見えになりますね」

柊一さまは、真っ赤になって上目遣いに俺をにらみつける。

エプロンを身につけると、さっと俺の方に向き直る。
肩を揺らしてローブを落とすと、顔を上げて真っ正面から俺を見つめた。

挑発的な強気な表情。
もう、たまらない。

両腕を後ろに回してひもを結ぼうとしている、その無防備な姿に、
自分の中の何かが解き放たれるような気がした。

「柊一さま」

そう言って、俺は、エプロンを身につけた柊一さまを抱きすくめ、
両腕を後ろに戒めたまま、
唇をむさぼった。

「やっ・・・あ・・・冴木・・・」
口づけられたまま、柊一さまは、一歩一歩後退して、壁ぎわに追いつめられる。
これ以上、逃げられませんよ。
角度を変えて何度も口づけながら、
すでに高ぶっている自分自身を柊一さまに押しつける。
柊一さまの手首をそっと放して、そのまま、手を柔らかい双丘にすべらせる。

柊一さまの双丘を両手で愛撫しながら、お互いの高ぶりをこすりつけたい。
はち切れるばかりに充実したお互いのものから、はしたない音が聞こえ始める。


ん?
・・・何だ・・・この音は。
ピピピ・・・って。
おい、違うだろう、この音は。
あ、柊一さま、行かないでください。
ここからが、イイところなんですから!
柊一さまは、うっすらと微笑んで、遠ざかってしまわれる。
柊一さま!柊一さま〜〜〜〜〜〜!


「というところで、目が覚めてしまった。お前からの電話のおかげでな」
殺気だった目でにらみつけられて、若宮は呆然とする。

「そ・・・そんなこと言われても、それは、お前の夢だったんだろう?」
「ああ」
「確かに電話したのは俺だが、だからって、俺に責任は」
「ある」
「あるのか?」
「ああ、大変な責任だ。
柊一さまとのエプロンプレイを邪魔されたんだぞ。」
「夢だろうが、それは・・・」
「おい、若宮。お前も弁護士なら弁護士らしく、責任をとれ」
「責任を取れと言われても・・・」
「夢の続きを見られる方法を教えろ」
「えええええ?」
そんなご無体な・・・まったく、恋に溺れるバカはどうしようもないな。
もっと単純に考えればいいのに・・・。

「冴木。俺に頼ったり、夢に望みをかけるよりも、
実際に柊一くんにエプロンを着せてしまえばいいじゃないか」

何気なく助言したつもりだったが、冴木の顔を見て、全力で後悔した。

まさに、夢から覚めたばかりのような表情。
え?・・・冴木?

「そうか・・・俺としたことが、うっかりしていた。
お前なんかに頼るのではなく、実際に柊一さまに着ていただけばいいんだ」

すまない・・・柊一くん。
俺が、余計な事を言ったばっかりに。

「感謝する、若宮。
こんな簡単な事に気づかないなんて、俺は自分を見失っていたようだ。
そうと決まれば、さっそく準備しなければ・・・」

こんなことを、俺に相談してしまう時点で、
お前は相当自分を見失っているぞ、冴木。

新たな目標に向かって、行動を起こし始めた親友の後ろ姿を見つめながら、
若宮は、やれやれとため息をつくのだった。




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clover皆様、お久しぶりです、れんです!
前々から書きたかった裸エプロン。
(お待たせ、彩香ちゃん♪)
このあと、絶対に冴木は、目標を達成しますよ!
そして、よせばいいのに、若宮に自慢するんでしょうね〜。
で、若宮は「じゃ、俺も!」って思うけど、
相手が早瀬ですから、無理っぽいです(笑)
夢の中の柊一さまは、普段にも増して美しかったことでしょう。
キラキラとパールな素肌、お目々に星ですから!

読んで頂いて、ありがとうございます!


「何事も経験だって、僕に言ったのは、お前だろう」
「・・・えっと・・・はい、それは言いましたが・・・」
「それなのに、やってみないうちに、無理だなんて。
お前は、僕を侮辱するのか」
「いえ、別に侮辱なんてするつもりは」
「つもりがなくても、僕がそう感じれば侮辱は成立するんだ」

・・・柊一さま、それはセクハラの定義ですか・・・

日付の変わった静かな夜。
広尾のマンションのリビングでは、穏やかで厳しい柊一の声と
なだめようとする冴木の声が響く。

「柊一さま、そろそろ夜も遅いです。さぁ、水をもう一杯いかがです?
そして、もう今夜は寝ましょう」
「いや、まだ寝ない。だいたい、どうして僕では無理だというんだ。
納得のいくよう説明しろ、冴木」

・・・ああ・・・どうしよう・・・言うんじゃなかった・・・。

覆水盆に返らず・・・後悔先に立たず・・・か。
アルコールでぼやけた頭に、繰り返しても役に立たないことわざが思いつく。
それでも、柊一の声は続いた。


「僕の何が不足なんだ。
確かにお前は何でも僕よりうまくできる。
料理だって、アイロンかけだって、パソコンやDVDの接続もそうだ。
だからって、なんで僕ではダメなんだ。」
「柊一さま、別にそういうことは慣れですから、特別器用でなくてもできるわけで」

・・・もう少し・・・あと10分なんとか持ちこたえれば・・・柊一さまは・・・

「なんだ、お前は僕が、特別不器用だから無理だと言うのか?」
「あ・・・すいません、そんなつもりじゃ」
「それなら、無理じゃないと認めるか?」

・・・もうちょっと・・・そろそろ・・・かな・・・

「えっと・・・はい・・・無理じゃないかも・・・しれませんが・・・でも」
「曖昧な答えだな。経営者らしくないぞ、冴木」

・・・うっ・・・こんなところで、経営者を持ち出さなくても・・・・。
柊一に気づかれないように腕時計を確認する。
帰宅してから約30分・・・そろそろ頃合いだろう。
とにかく、穏やかに納めなければ。
すっと息を吸うと、誠意を込めて話し始める。

「はい、柊一さまにもできます。たぶん、無理じゃないです。
でも、私が耐えられません。私の方が無理なんです。
だから、お願いです。
それは、どうぞ、私だけの役割にさせてください、柊一さま」
座っている柊一の傍らにひざまづいて、素直に頭を下げて心から頼む。

「無理じゃないと、お前が認めるなら、それでいい。
当たり前だ。
これからも、お前だけだ。
・・・お前だけ・・・だから・・・」
少し機嫌を直して、そう言うと、そのままソファに沈み込む。

午前1時25分。

「はぁ。やっと眠ってくださった。
だいたい、睡眠不足で酒を飲むと、妙に絡んでこられるから困る。」

冴木は脱力した柊一を両手で抱きかかえると、深いため息をついた。


柊一は、結構酒癖が悪い。
醜態をさらすという意味ではなく、手がかかるのだ。
一見酔ってるように見えないくらい冷静で、行儀もよい。
ところが、妙に意地っ張りでわがままになり、
少し時間がたつと、スイッチがオフになるかのように、急に寝てしまう。

「ま、手がかかるだけじゃなくて、お可愛らしいところもあるのだが・・・」
そうつぶやくと、もう一度深いため息をついて、数時間前の自分の失敗を思い出した。



その日は、めずらしく若宮と早瀬のマンションで酒を飲んだ。
デリケートな勘案事項を議題とした会議が、上首尾に終わったという開放感もあって、
会議の準備で睡眠不足の柊一を誘ってしまったのが、そもそもまずかった。

さらに、若宮とセクシャルな話題で盛り上がってしまったのも、かなりまずかった。
いわく、「抱く方は、相手にダメージを与えないように、根気強く身体をほぐして、
受け入れる準備をしなければならない。
自分の快楽を追いかけたい欲望を抑えながら、
ひたすら丹念に丁寧に施す行為は、
かなり器用でなければ、無理だ」
などという結論で、若宮と自画自賛して乾杯したことから、冴木の災難が始まった。

帰宅途中のタクシーでの柊一の無言の不機嫌さは、帰宅後に正体を現した。

「つまり、僕が不器用だから、抱く行為は無理だと言うのか」

いきなりな詰問に、度肝を抜かれる。

何を言っておられるんだ、柊一さまは。
抱くって・・・えっ・・・俺を?

若宮との下世話な話にのめりこんで、つい柊一の飲酒量まで気づかずにいた。
顔色は全く変わっていないが、これは、相当飲んでいる様子だ。

そこから、延々と冴木の苦行が続いた。
酔って正気を吹き飛ばした柊一は、別に冴木を抱きたいと思っているわけではない(たぶん:笑)。
ただ、もともと冴木より不器用という劣等感を刺激された上に、
「不器用だから抱く行為は無理」と決めつけられたと思いこみ、
勝手に憤慨している状態だった。


どう言い訳しても、取り繕っても、納得してもらえず、
いつものように、スイッチがオフになって眠ってしまうのを、
ひたすら待つばかり。
その、忍耐と努力がようやく実ったのだ。


「さて、今のうちにシャワーを浴びてこよう」
柊一をベッドに寝かせて、額にキスをすると、いそいそと浴室へと向かった。

実は、酔った柊一の不思議な行動パターンはここで終わりではない。
というよりも、冴木にとっては、ここからがお待ちかねなのだ。
ちゃっちゃと風呂を済ませて、バスローブを羽織り、
眠る柊一に寄り添って、その寝顔をを眺めることしばし・・・。
かたわらの柊一がぱっちりと目を開けて、上体を起こした。

・・・目が覚めましたね、柊一さま。

「冴木」
「はい、ここにおります。どうされましたか、柊一さま」
「冴木・・・キス・・・して。
抱いて・・・。
もう、こんなの脱げよ。
僕も脱ぐから」

「わかりました、キスですね。
大丈夫です、私は自分で脱ぎますから、柊一さまは脱いじゃダメですよ。
私が脱がせて差し上げます」


再びスイッチが入った柊一は、いきなり大胆モード全開になる。

普段でも、はじめは恥ずかしがっているが、冴木がお願いすれば、
大概は許してくれて、びっくりするほど奔放に快楽に溺れてくれる。
それが、可愛らしくて色っぽくてうれしい。

しかし、深酒したときは、恥じらいがすっきり省略されてしまうらしく、
まさに、いきなりなのだ。
天然で素直な小悪魔は、冴木の身も心も熱くする。
そして、熱く湿った狭い場所で、気が狂いそうなほど気持ちよく締め付けてくる。
その声で、身体で、たががはずれたような激しい行為に誘うのだった。


何度果てたかわからないが、ようやく本物の眠りについた柊一の頬に、
優しいキスを繰り返す。

「柊一さま・・・愛してます」

こんな表情を見られるのは自分だけだ。
そう思うと、苦しいほどの愛おしさが増して、両手で強く抱きしめるのだった。





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ニコニコ。 横向きれんです。
拍手ありがとうございます!
ホント、すっごいうれしくて、パソ前で踊ってます(笑)

当初の予定では、酔っぱらい冴木を書きたかったのですが、
なぜか、柊一さまのご登場となりました。
深酒な柊一さまの行動は、
あくまでも私の偏った好みによるマイ設定なので、
「これは柊一さまじゃない〜〜」って思われた方には、ごめんなさいです。

でも、前半のおろおろしたりなだめたりする冴木を、もりもりのお声で
聴いてみたくて、結構楽しく書いてしまいました。
できれば、今後も素敵柊一さま情報を冴木から仕入れたいと思います。
冴木視点の「柊一さまラブ日記」とか?(←おバカ過ぎてすいません)

読んで頂いて、ありがとうございました!







特に約束をしていたわけでもないが、
なんとなく意気投合して居酒屋で一杯、ということが、たまにはある。
冴木と若宮は、ちょっと寄っていこう、という気軽なノリで、酒を飲んでいた。

ふたりで飲むときは、仕事の話はほとんどしない。
もっぱら、それぞれの最愛の恋人の話題になる。
誰彼なしに、話せない事ゆえ、どうしても打ち明け話的なものになる。

「その後、クルーザーのことは、ちゃんと話せたのか?」
「あ〜〜、まぁ、それについては、一応前向きに準備中だ」
「なんだ、まだ、言えないのか?」
「実はタイミングが悪くてな。」
「タイミング?・・・ふん、相当尻にしかれているんだな」
「お前に言われたくないぞ、冴木」

そして、若宮には絶対に言いたくないことが、もう一つあった。
それは、「秘密の早瀬フォトアルバム」を作ろうと、
大事に隠していたフォルダを早瀬に見つかり、速攻で消去されたことだ。

もうすこしで、完成だったのに・・・。

データを取り込み、わざわざアイドルの写真集を参考に章立てを編集して、
さらに、「お楽しみ袋とじ」ファイルまで、作ったのに。
アイコンまでこだわった、会心の出来だったのに(涙)

悔しさのあまり、酒がすすむ。

「俺のことは、ともかく、お前はどうなんだ」
自分ばっかり暴露話をさせられるのはたまったものじゃない。

「ん?俺か?」
焼酎の水割りをぐいっと飲み干すと、おもむろに口を開きだした。

「実は、困っている」
「困っているって?・・・お前が?」
「ああ」

ほお・・・これは、ちょっと愉快かもしれないな。
是非聞き出してやろう(小さく握りこぶし)

「なんだ、話してみろよ」
「いや、たいしたことじゃないんだが」
「いいから、言えよ。聞いてやるから」
「そうか?・・・じゃ・・・」

若宮は、親友のなさけないコイバナの暴露に、ちょっとワクワクした。

「柊一さんが、毎日出勤前に、キスを仕掛けてくるようになったんだ」

ふう〜〜ん、そうか〜・・・って、えええええええ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜?
予想外な展開に、ゴホゴホとむせる。

「柊一くんが?毎朝キスを?」
「ああ。初めての朝は、本当にびっくりしたぞ。
なにしろ、玄関の扉を開ける直前だったからな。
そんなそぶりをまったく見せないまま、軽く唇を吸われて、
絶妙のタイミングで、2回目のしっとりしたキスまでされたのだから。
もう、押し倒すことも忘れそうなほど、サプライズなキスだった」
うっとりと語り始める冴木の隣で、若宮は呆然とした。

・・・うらやましい・・・なんて、うらやましいんだ、冴木。

「しかし、毎日続くものだから、俺は出勤時間前になると、どうしても
期待して下半身がズキズキして困った。
パブロフの何とか状態というものだろうな。
朝食が終わって、出勤の準備をして、玄関に向かう頃になると、もうダメだった」

そうだな、お前は、犬でちょうどいい。
しかも、真っ黒い大型犬で、主人に絶対服従なヤツ。
(若宮さん、そういうのを、最近では『ヘタレワンコ』っていうんですよ:by れん&彩香)

「毎朝こうでは、さすがの俺も我慢する自信がない。
される一方だから、そうなるのかと思って、ある日、俺からキスを仕掛けてみたんだ。
そしたら、驚きながらも、うれしそうにキスを返してくださる柊一さまが、
あまりにも可愛らしくて、ついつい、深いキスを繰り返してしまって、
そのまま押し倒して、叱られた。」

グラスの酒を飲み干して、おかわりを注文する口調には、明らかに酔いがうかがわれる。

朝からさかって叱られたのか、お前は。
・・・だけど、うらやましい・・・。

新しい酒を、グイグイ飲むと、さらに冴木はしゃべり続けた。

「結局、俺からは、キスしてはダメだと禁止されたんだ。
禁止だぞ。どう思う?
『お前には、こういうほのぼのとした行為は無理だろう?
だから、玄関でのキスは、禁止だ』って。
それでいて、自分からは、散々仕掛けてくるのだから、たちが悪い。
柊一さんは、あれで結構キスがお好きで、しかも甘えるのもお上手になったからな。
いや、それはそれで、お可愛らしいから、いいんだが。」

・・・おい。

冴木は、さらに、饒舌にしゃべり続ける。

「こないだなんかは、俺が料理している後ろから、いきなりギュッと抱きついて来るし。
ベッドにうつぶせになったまま、『冴木の匂いがする』なんて囁いて誘うし。」

・・・おいおい。

「俺が落ち着かない気分になるから、苦手なのを知っていて、風呂場では奉仕したがるし。
ま、柊一さまは、俺が風呂にはいると、ゆっくりできないから、その仕返しのおつもりなんだろうけどな。
ねっとり熱くくわえられた姿勢で、上目遣いで『よくないの?』なんて言われたら、もう」

おい!

「冴木、もう、いい。もういいから、やめろ。」
「どうして? 聞いてくれるんじゃなかったのか?」
「いや、もう、うらやましすぎて、聞いていられないから、やめてくれ」
「? そうなのか? じゃ、仕方ないな。 
もうこんな時間か。
ちょっと、飲み過ぎたかな。
柊一さまが心配するから、俺は帰るけど、お前はどうする?」
「あ、俺も、そろそろ帰る」

タクシー乗り場まで並んで歩く。
「すまない、ちょっと」そう言うと、携帯を出して、冴木が立ち止まった。

ああ、柊一くんに連絡するんだな。
そういう習慣なのか・・・うらやましい。
俺も早瀬にかけてみようかな・・・。

「柊一さん?すいません、若宮とちょっと飲んでいました。
ええ、・・・どうしてもと、誘われまして」

はぁ、そうだったか?

「え? いえ、飲み過ぎてなんかいません。大丈夫ですよ。
本当に、大丈夫です。
ご心配なく、今夜もできますから。
柊一さんは、もう、眠いですか?
待っていてもらえますか?
それなら、俺・・・」

・・・聞くんじゃなかった。

若宮の受難は続いた。


************************************************************

ローズれんです。
拍手ありがとうございます!
前回に引き続き、出てきちゃいました。
すいませんm(_ _)m

今回も若宮先生には、不憫な役回りを引き受けて頂きました。
内容としては、「小悪魔のキス」の後日談です。
冴木が、酔っぱらって、柊一さまに対して、
なんか可愛くなっちゃうっていうの、好きです。
「私」じゃなくて、素の「俺」に戻って、
謝ったり、おねだりしちゃったりっていうのが好きなんです。
柊一さまは、冴木に対しては、ご主人様的包容力がありますから、
冴木の可愛げに、ほろっときて、「いいよ」って許しちゃう。
ますますラブラブなふたりです(*^_^*)
その甘美としかいいようのない災厄は、突然冴木に舞い降りた。


仕事のある朝は、軽い風味のコーヒーで始まる。
薄切りのトーストに、バターとジャム。
手早く大根をスライサーにかけると、レモン風味のドレッシングで仕上げる。
目玉焼きは半熟。
塩を少々で完成。
いたってシンプルで何の苦労もない。

柊一が手伝うと言っても、決して許さない。

コーヒーやトーストは、わざわざ柊一の手をわずらわす必要もないし、
スライサーなんて危険すぎて、任せられない。
フライパンで火傷などさせては、
自分が許せなくなるので、目玉焼きもダメ。

「私の趣味は柊一さまですから」と恥ずかしげもなく豪語する冴木は、
恋人にはベタで甘甘で、どうしようもない。

「いくら経験不足と言っても、ちょっとした料理くらい僕にもできるのに」
忙しい朝に、何もさせてくれない不満が募っていた。
そんなとき思い出す風景があった。

体調がよいときは、いそいそと父の世話を焼いていた母。
冴木のかいがいしさは、その母を思い出させる。
とても、幸せそうにしていた母。
そして、父。

冴木も、やっぱり、幸せを感じてくれているのだろうか。

「・・・あ・・・そういえば、僕が冴木のためにできることが、あったっけ」
フランスに駐在していた頃の両親の習慣。

天然の小悪魔は、スーツの上着に袖を通すと、
自分の思いつきに、にっこりとひとり微笑む。

「柊一さま、そろそろ出かけましょう。忘れ物はないですか?」
そう言うと、冴木は柊一を先に玄関に誘導した。
「ああ」
柊一は玄関のノブに手をかける寸前で、身体を反転させる。
「・・・?」
おもわず、そのまま懐に入れて抱きしめてしまいそうな距離に、冴木が立ち止まった。
「・・・えっ・・・?」

天然な小悪魔が降臨する瞬間。

しなやかに伸ばされた指が、冴木の頬を触る。
ほんのり爽やかで甘い香りが近づくと同時に、
暖かい唇が頬をかすめ、そのまま冴木の唇に重なる。
微かに音を立てて軽くキス。
すぐに離れた直後、
再びしっとりと、まるで大切なものを包み込むかのような優しい口づけが降りてくる。

唇が離れても、きれいな瞳に見つめられて、身動きができない。
それなのに、この小悪魔はすっかり自分のペースで言うのだった。
「じゃ、行こうか、冴木」

突然の夢のようなワンシーンに、身体が動かない。
「今のは・・・・」
まるで新婚さんのような、お出かけ前のキス。
「どうした?何か忘れ物か?」

小悪魔は、あっという間に天然に戻ってしまっている。

こんな幸せを、惜しげもなく自分に与えてくれる恋人には、まったくかなわない冴木だった。


*****************************************************************

ニコッ♪こんにちわ、れんです。
いつも、拍手を頂き、ありがとうございます!
励みになります(*^_^*)
今回は、「新婚さんモード〜お出かけキス〜」
小悪魔な柊一さまと振り回される冴木は、ラブラブで大好きです!
モリモリ・タカピロヴォイスで、読んで頂けたら、
すっごいうれしいです!


「柊一さま・・・ちょっと・・・。
 あ、すいません、通して頂けますか。
 待ってください、柊一さま。柊一さま!」

早朝から30度を超す猛暑の中、ごった返す人波を予想外の素早さで進んでいく
華奢な背中を追いかけている。

週末を恋人らしく過ごしたい。

この思いは柊一さまも同じなようで、最近は、美術館や写真展だけでなく、
スポーツ観戦やコンサートまで楽しむようになった。
そして、今日は、仕事の関係でもらった招待パスを持参して、
ある大手出版会社のイベント会場に来ていた。

「柊一さま!」
「ん?どうかしたの、冴木?」
「おひとりで、どんどん進んでしまわれるから、心配しましたよ」
さりげなく息を整えながら声をかける。

「大丈夫だよ。子どもじゃないんだから。
それよりも、向こうに作家の特設ブースがあるみたいだから、行ってみよう」
そういうと、俺の返事をきくまもなく、歩き出そうとする。

「柊一さま、お待ちください。」
「何?」
「暑いですから、水分補給です」
そういって、ミネラルウオーターを差し出すと、
ちょっと不服そうに俺を見上げながらも、素直に飲み始める。
ゴクゴクと飲み下される喉の動きにうっかり視線が釘付けになる。
飲み終わる瞬間に、唇の端からあふれた水が、
なめらかな曲線をたどりながら、
ゆっくりと鎖骨にたどり着く。
昨夜の自分の濃密な行為を思い出して、
朝だというのに、身体が熱くなるのがわかった。

「どうか・・・したか、冴木?」
「・・・いえ。そろそろいきましょうか」
そういいながら、俺は柊一さまのシャツのボタンをひとつはめ直した。
暑いからといって、こんなに開けていては目の毒だ・・・俺自身の。

ひとつひとつの作家ブースをのぞき込み、
時々、その著書を手に取る。
読んだことがあるか、何が面白かったか、など
他愛ないおしゃべりをしながら先に進んだ。

こうした、当たり前のひとときが、こんなにも楽しいのは、
柊一さまと一緒だからだ・・・つくづくそう感じた。

そうこうしているうちに、ひどくごった返しているスペースが見えてきた。
「あれは、なんだろう」
「そうですね、何かステージがあるようですね」
「行ってみよう」

柊一さまのこういう好奇心の強さや行動力には、新鮮な思いがした。
普段は、思慮深くて落ち着いた雰囲気が前面に現れているが、
本来は、こんな活発な一面も持ち合わせておられるのだ。

置いて行かれないように、慌てて歩き出すと、
柊一さまは俺の手をとり、そのまま腕まで絡ませた。
「柊一さま・・・」
「お前が迷子になったら・・・困るだろう?」
そういうと、上目遣いでにっこりと微笑む。

まったく、この人にはかなわない。


スペースに近づくと、それが若者に人気のあるテレビアニメのイベントコーナーで
あることがわかった。
どうやら、この出版社は、アニメの原作を手がけており、
最大のスポンサーとなっているらしい。

なんだ、アニメか・・・。
当然柊一さまも、通り過ぎるだろうと思っていた。
しかし・・・。

「・・・これ、桔梗が気に入っていたアニメだ」
「えっ・・・・」
桔梗さま・・・こんなところで、この人の名前がでるなんて。
水を差されたようで、ちょっとイヤだ。

「へぇ・・・今日は、声を出している声優もゲスト出演するんだって」
「はぁ・・・」
声優が来るからって、なんなんだ、一体。
「そう言えば、ここに出ている声優さんに、声が似ているんだって」
「似ている・・・って?」
「僕の声が、似ているそうだよ。」
「誰がそんなことをあなたにいったのですか?」
「うちの課のアシスタントの女性たちだよ」
「・・・・・・・・・・・」
「彼女たちが好きな声優さんと声が似ているって。
良い声だって、『カッコ可愛い』って褒められたよ。
カッコ可愛いなんて、言葉、はじめて聞いた」
軽く笑う声も、俺にはぼんやりしか聞こえてこなかった。

柊一さまの声を褒めた?
イイ声だって?
カッコ可愛い?


イイ声を聴いていいのも、褒めていいのも、俺だけなはずなのに。
言いようのない熱い感情に、たちまちのうちに支配される。

「柊一さま、帰りましょう」
「え?」
柊一さまの腕をとり、肩を抱いて人の間をかき分ける。
目指すは、イベントの退場口だ。

「冴木、ちょっと待てよ。何で帰るんだ。桔梗に何か土産を買って帰りたいのに。」
「帰ります」
「まだ見ていないスペースもあるのに。冴木!」
「いいから、帰りますよ」

屋内駐車場には人影もなく、自分たちの足音ばかりが大きく響いていた。

「冴木。なにを怒っているんだ?」
「・・・怒ってません」
「嘘だ。怒っている」
「怒ってなどいませんから」
車内は、気まずい雰囲気のまま、広尾のマンションにたどり着いてしまった。

こんなはずでは、なかったのに。

シャワーを浴びてリビングの戻ると、バスローブ姿の柊一がソファにもたれていた。
「冴木・・・」
促されて、隣に座る。
「なんか、喧嘩しているみたいで、イヤなんだ」
「柊一さま」
「どうして、急に帰ろうとしたのか、ちゃんと説明してくれないか」

え・・・。
アシスタントの女性に嫉妬したと白状しろと言うのだろうか・・・。
自分の知らないアニメのことを、桔梗様と話していたことが面白くなかった、
と言わなければならないのだろうか。
どうしようかと、視線が泳ぐ。

「冴木・・・」
柊一は、冴木の膝に乗り上げる勢いで近づくと、ローブのあわせがはだけるのもかまわずに、
身を寄せてきた。
「柊一さま・・・あ・・・」

もうダメだ。
心の狭い自分をさらしたくはないが、こんな状態で迫られては、とても太刀打ち出来ない。

「すいませんでした。あなたが・・・声を褒められた何ていうから。」
「だから?」
「あなたの声も、身体も。・・・心も、私だけのものなのに。
他の誰にも、聞かせたくないと思ってしまって」

恥ずかしい告白を、素直に打ち明ける。
まるで、子どもみたいだと思いながらも、こんなにも素直になれるのも、
この人の前だからだ、と改めて思う。

「ヤキモチをやいたのか?」
うっ・・・あからさまな言葉で確かめられる。
「・・・そうです」
「そうか。・・・わかった。もう、いいよ」

許しの言葉にほっとするまもなく、熱い身体を感じて驚く。
「柊一さま?」
白い太ももをあらわに、膝立ちの姿勢で俺の膝に乗った柊一さまは、
チュッ、と音を立てて、素早く口づけると小さく囁いた。

「可愛いな・・・鷹成」
「柊一さま・・・」
「どうしたの、さっきから、僕の名前ばかり呼んで。
他に、言いたいことはないのか?」

ほとんど唇が触れるほどの距離でねだられる。

「愛しています・・・。
おろかな嫉妬に狂いそうになるほど、あなたを愛することを、許してください」

柊一さまの指が、優しく髪を愛撫するのを感じながら、じっと見つめあう。

「お前だけだ。許してやる。」

あふれそうな思いのまま、何度も口づけをかわす。
「私のためだけに、声を聴かせてください」
「ああ・・・聴かせてやるから・・・早く・・・冴木・・・」

柊一さまの中心に指を絡めると、甘い吐息を吐きながら白い胸が仰け反った。
我慢出来ずに、赤い尖りに唇を落とす。
「あっ・・・さえ・・・・ん・・・」
舐めしゃぶり、音を立てて吸い付き、噛みつく。

この甘い声は、俺だけのものだから。
あなたが、それを俺だけに許してくれるから。



・・・やはり、愚かな嫉妬というものも、愛すべきものなのかもしれない。

とはいうものの、声優好きのアシスタントの人事異動は、冴木の胸の中では決定事項だった。

LOVEThe End
週末のアフターファイブ。
冴木と若宮は、久しぶりに居酒屋で冷酒を楽しんでいた。


「最近クルーザーを買ったんだ」
「クルーザー?」
「ああ。」
そうか・・・恋人との週末のために、クルーザーという方法もあるのか。

このところ、「恋人との週末の過ごし方」の研究に力が入っている冴木は、
さっそく、最愛の恋人と、自分とのツーショットにクルーザーを重ねてみる。

・・・柊一さまは、気に入るだろうか・・・。

「・・・ところがだ・・・ん?おい冴木、聞いているのか?」
「あ・・・ああ、聞いている。クルーザーのどこが問題なんだ?」

「大問題さ。実は、早瀬にはまだ話していない」
「なんでだ?」

あっさりした白身の刺身を口に放り込むと、ため息混じりに話し出す。
「どうせ文句言われるだろうし。へたすりゃ、売っぱらわれてしまう」
「まさか」
「いやいや。
『なんなんですこれは。オモチャにしては、無駄に高価ですね。』
って言われそうで、気が重い」

優秀な社内弁護士も、恋人の前では小心な一面を持ってしまうらしい。
「恋人とふたりで海を楽しむなんて、随分ロマンティックな趣味だな。」
らしくない、といった風に、ちょっと笑うと、冴木は冷酒の盃をぐっとあける。
「そういうお前はどうなんだ、冴木?
週末はどうやって過ごしているんだ?
そういえば趣味はなんだった?」

趣味・・・・・。
なんだろう。

週末の過ごし方で一番好きなのは、柊一さまとだらだらと過ごすこと。
柊一さまとゆっくりお風呂に入ること。

その至福の時は、金曜の夜から始まる。
休前日の夜は、先に柊一さまを風呂に誘導して、
すぐその後で自分も入る。
もちろん、入るだけで終わるはずもなく、
浴槽にふたりでつかって少し話をしながら体中を触る。
さらに、隅々まで洗って差し上げて、
シャンプーもトリートメントも手を抜かない。

浴槽の縁に柊一を座らせて、
柊一自身を、思う存分口で愛することも絶対に欠かせない楽しみのひとつだ。
浴室に響く、甘い声は、本当ならいつまでも聞いていたいが、
何度か柊一をのぼせさせてしまい、
こっぴどく叱られたため、
一応、精一杯自重して風呂の中では2回までと決めている。
(『そんな恥ずかしいことを、勝手に決めていたのか、冴木!』
 『相談したら、3回に増やして頂けましたか?』
 『当然、却下だ、バカ!』)

その後は、ベッドに連れて行って、一緒にミネラルウォーターを飲んで、
そして・・・明け方近くまで愛し合うのだ。

休日は、たいてい冴木の方が先に目が覚めるので、
しばらくはおとなしくしているが、やはり、我慢出来なくなると、
ごそごそといやらしいちょっかいをかける。
朝の柊一を堪能した後は、
美味しい紅茶を入れてやって、
好物のメニューを作って、
・・・・・・・すべてが柊一さま中心に過ごすことが一番の幸せだな。

・・・ということは、俺の趣味は・・・。


「どうした冴木。もう酔ったのか?」
うっかり、柊一に思いをはせていて、若宮のことを忘れていたようだ。

「いや。しかし、そろそろ帰るぞ」


タクシー乗り場で若宮と別れて、広尾のマンションにたどり着いたのは、
22時を少し過ぎた頃だった。

「ただいま戻りました」
「おかえり、冴木。早かったな、若宮先生と飲んできたんだろう?」
「はい。」
上着を脱いで、柊一から冷えた麦茶を受け取る。

「若宮は、早瀬に内緒でクルーザーを買ったそうです。
今度、柊一さまもご一緒に、海に出ないかと誘われました。」
「へぇ、クルーザーか。楽しそうだな。」
「楽しそうですか?」
「えっ・・・楽しそうじゃないのか?」
「いえ、別に」

そうか・・・クルーザーは、柊一さまもお好きなのか。

なんだか若宮に先を越されたみたいで、面白くない。

「あ、そうだ冴木。
お前、経済誌の取材を断ったって?」
「取材?ああ、冬文出版のですか?はい、お断りしました」
「どうして?冬文出版の経済誌は、内容もしっかりしているし、
特に問題はないだろう?」

もちろん、それは知っている。
しかし、今回のインタビューには冴木のプロフィールというおまけの注文がついていたのだ。
「私は、趣味だの、モットーだの、マイブームだの、好きな食べ物だの、仕事を頑張れる秘訣だの、
そういうことをしゃべらされるのは、お断りです」
「なんだ、そんな理由で断ったのか?」
「いけませんか?」
「いけなくは・・・ないが、気軽に答えればいいんじゃないのか?」
「気軽に答えていいのですか?」
「・・・別に・・・かまわないだろう?」
柊一はにっこり笑うと、ちょっと首をかしげて、その美しい瞳で冴木を見つめた。

「では・・・私の趣味は、柊一さまです。」
「えっ・・・・・?」
「モットーは、柊一さま絶対至上主義。
 マイブームは、柊一さまとの充実した恋人らしい週末の過ごし方。
 好きな食べ物は、柊一さまのアソコです」
「あ・・・ああああ〜〜〜〜、やめろ冴木。やめてくれ!」
「柊一さまを舐め回して、むしゃぶりついて、感じさせて、歓ばせて、
 一緒に何度も絶頂を味わって、愛してますと言うことが、仕事で頑張れる秘訣です。
 このとおり、インタビューで答えてやればいいのですね」

柊一は首まで真っ赤にして、上目遣いににらみつける。
「冴木・・・お前。」
「さぁ、柊一さま、今夜は金曜ですから、シャワーですまさずに、
一緒にお風呂に入りますよ。」
「いやだ、僕はひとりで入るから、いい」
「ダメです。」

離れそうになる柊一の身体を、素早く抱き込むと、そっと耳元に囁く。
「私の趣味はあなたなしでは、成り立ちません。どうぞ付き合ってください」
そうして、優しく口づけるのだった。

The End

静かな夏の午後。
顧問弁護士である若宮の電話が、軽やかになった。

「はい、若宮です」
「ああ!若宮先生、いてくださって、よかった!
私は、広報企画部の石山と申します。
いつもお世話になっております。
実は早急にご助言を頂きたい内容がありまして。
おうかがいしてもよろしいでしょうか?」
「ああ、では、2時半で。かまわないかな?」
「はい!ありがとうございます!」
「・・・何か、まずいことでも?」
「・・・場合によっては。とりあえず、ご説明させてください!」

時間より5分早く、石山は来室した。
どうぞ、という言葉とほぼ同時に、バタバタと転がり込むように来た人影は、
怒濤のようにしゃべり始めた。

「先生!お届けの期限をどのくらい過ぎてしまったら、
遅延のお詫びメールを出すべきでしょうか!」
「えっ?」
入室するなり、自己紹介もそこそこに、石山は泣きそうな声で訴え始めたのだ。

「費用はすでに頂いている、お客様全員サービス企画なんです!
広報企画部が総力を挙げて作り上げた、プレミアブックなんです!
それが、月末にはお届けだったはずが、まだ発送できない状態で・・・。
我々は、どうしたらいいでしょう(涙)」

すがりつかん勢いで迫られた若宮は、とりあえず麦茶でも飲んで、
落ち着いてほしいと、グラスを差し出した。


「つまり、君の話を要約すると、こうなるのかな。
7月末にお届けを約束していたプレミアブックの発送が遅れている。
お客様には、費用負担もして頂いているのに、
このままでは、我が社の信用問題にもなりかねない。
どの程度の遅延から、謝罪メールが必要となるか・・・ということかな?」
「はい!」
飲み込みの早い顧問弁護士に、ちょっとだけ明るい未来が見えたのか、
石山は、元気に返事をした。

「・・・ちょっと教えてくれないか。
まず、発送の目処はいつ頃なんだ?
それから、そもそも発送が遅れている原因は何だ?」

「それは・・・」
「それを言ってくれないと、俺としても助言のしようがないな」
「目処は・・・正直言ってありません。」
「はっ?」
「いつゴーサインが出るのか、まったくわからないんです」
「一体どういうことだ?本は完成していないのか?」
「いえ、本はすべて完成しております。
あとは、発送準備に入ればいいだけです。・・・ですが」
「何か、問題が?」
「はい・・・あの・・・実は・・・」
言いよどむ相手に、いらだちが募る。
「君は助言を欲しいのだろう?それなら、はっきり答えるべきだ。」
きっぱりと、しかし静かな口調で問いかける。
「はい!実は、冴木社長のお許しが頂けないのです」
「なに?」


プレミアブックは、柊一と冴木を長年応援してきたお嬢様とマダムのための
特別企画で、柊一のこんな表情とか、冴木とのあんなエピソードなど、
レアでお得感満載の内容に仕上がった。
絶対に喜んで頂ける、と納得の仕上がりだったのだ。
ところが、原案は了承されていたはずなのに、
いざ完成してみると、冴木がストップをかけてきたのだった。

曰く、「この話は、柊一さまと私だけの大切なエピソードなのだから、
このような場で公表してもらっては困る。
削除しろ。
それから、この部分、柊一さまのお美しさを表現するには、
まだまだ言葉が不十分とは思わないか?
書き直しだな。
あと、本の装丁だが、もう少し上質の紙を使うように。」

すべての話を聞き終えて、ようやく広報企画部が陥っている
大変な状況が理解出来た。
冴木の注文は、はっきり言って無理だ。
そんな本を作りたければ、自費で作れ、と言ってやりたかった。
作れるなら、俺だって、『秘密の早瀬本』を作ってみたい。
世界にひとつしかない、袋とじ仕様だ!
おっと、思考が脱線してしまった(これは、家でじっくり考えてみよう♪)。

でも、絶対に冴木にそんなことをそそのかすつもりはなかった。
なぜなら、もし、冴木が本気になって『柊一さま萌え本』を作ると言い出したら、
もう、誰も止められないとわかっていたからだ。


しかし、社長である冴木を突破しなければ、プレミアブックの発送はできない。
なるほど・・・これはやっかいだな。

「わかった。
とりあえず、明日までに発送の目処が立たない場合は、すぐに謝罪メールを出すことを
検討したほうがいいだろう。。
目処が立って、数日以内に発送可能なら、メールはなしにして、
そのかわり遅延をわびるカードを同封するというのはどうだろう。
俺は、冴木社長に、直接当たってみることにするよ。
それで、いいかな?」
「はい!ありがとうございます!よろしくお願いします!」

やれやれ・・・・。
まったく、恋する男というものは、傍迷惑なモノだ・・・。

若宮は、その脚で冴木の部屋を訪れた。
「さえ・・・何をしているんだ?」
いつもなら、整理整頓されている冴木の社長室は、
色とりどり、材質も様々な紙が広げられていた。
「若宮か。すまないが、今は手を離せないのだが、急用か?」
ちらっと視線を向けて尋ねるが、心ここにあらずといった具合だった。
「いや・・・実は、プレミアブックについて小耳にはさんだもので・・・」
「なんだ、お前もか。俺も、そのことでちょっと忙しいんだ。」
「何をしているんだ?」
「広報企画部の手には余るだろうから、ちょっと手伝うことにしたんだ。
表紙の色だが、やはり柊一さまといえば、純白がいいかなと思って。
あ・・・だが、あの方は、心が強くて熱い方だから、情熱的な赤もお似合いだ。
しかし、イメージとしては、ラベンダーの上品な紫も捨てがたいな。
金箔の型押しも是非入れたいところだし。
ああ・・・迷うな・・・。」

ダメだ、これは。
こんなに盛り上がっている冴木を正面突破するなんて、とてもできそうにない。
部屋中に紙の色見本を広げた冴木を残して、早々に立ち去る若宮であった。

どうしようか・・・思わず深いため息を着いてしまう若宮だった。

ところが・・・。

このままでは、発送の目処が立たない・・・と思われたプレミアブック。
実は翌日の午後には、あっさり発送されてしまった。
早瀬の助言によって、事態は急遽解決に向かったのだ。

いつものごとく、若宮は、早瀬に事の次第を語ったのだった。
「なんだ、そんなことで広報企画部は手間取っていたんですか。
その内容なら、通常の決裁ルートは不適切でしょう。
冴木社長を通す必要はありません。
つまり、特別決裁Exを使うべきなのです」
「・・・特別決裁・・・Ex?そんなものが倉橋物産には設定されているのか?」
「今まで使ったことはありませんが、使うべきでしょう。
特別決裁Ex。つまりExtralegalルートです」
「・・・超法規的ルート?」

驚きを隠せない若宮を相手に、早瀬はまるで中学生に連立方程式を説明するかのように
淡々と謎解きをしていった。

「ええ。
今回のプレミアブックは、神とも言える上層部がゴーサインを出しているのでしょう?
それなら、たとえ冴木社長でも、従うべきです。
っていうか、さくっとスルーすればいいんです、社長なんて。
つまり、神がいいというから、発送もオッケーと解釈して、
ちゃっちゃと発送してしまえばいいのです。」

「おい、ちょっと待ってくれ。
そんなことをして、あとで冴木に何と言えばいいんだ?」
あんまりな展開に驚いて、思わず恋人の細い腕をつかんだ。
しかし早瀬は、しなやかな動作で自ら、その身を寄せると、
若宮の頬を指で触れながら、声をひそめてささやいた。

「もしも、冴木社長が文句を言ってきたら、こういって差し上げればいい。
『次は、冴木社長のご意見を取り入れて、是非もっと素敵な本を
作りましょう』とね。
お嬢様もマダムも、こういうプレミアブックをもっと読みたいと
期待しておられるのです。
また、次を作ればいいじゃないですか」
そう言い切ると、うっすらと怜悧な笑みを浮かべたのだった。

なんという柔軟な思考、回転の速さだろう。
絶対に敵には回したくないと、思いながら、
何を考えている、俺は恋人じゃないか、と自分を叱咤激励する若宮だった。


こうしてプレミアブックは、無事届けられるはこびとなった。

広報企画部、プレミアブック第2弾も期待されているぞ!
頑張れ(*^_^*)

声優の櫻井孝宏さんを心から愛する彩香とれんの萌え満載のBL創作小説ブログです♪
現在、れんによる『華藤えれなさんのBL小説スレイヴァーズ』シリーズの二次創作SS☆
彩香による『日高ショーコさんのBLコミック憂鬱な朝』18禁二次創作SS連載中♪二次創作は、基本一話読みきりです。

彩香

Author:彩香

レンタルサーバー


昼は社会人、夜はハードなBL星人です。
無理矢理が大好物なドS属性。
濃ゆくて切ないボーイズラブ小説が書きたいの。
最近は、日高ショーコさんの『憂鬱な朝』に萌え暴走中です。
誰か止めて…笑

Author: れん

華藤えれな先生のBL小説「スレイヴァーズシリーズ」の二次創作担当です。
甘い柊一さまと冴木をお楽しみくださいませ。

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